経験者の声は、生きた参考書だ

未来の後輩たちへ

&Old Boys Teacher

本学園の卒業生と教員との交流企画です。卒業生が教師になって教え、教員が生徒になって学ぶ。一人の学生が正則学園で歩んできた物語。その一つひとつ、一言一言が教員にとって、また新入生にとっての生きた参考書となる。卒業生を招いて、学生時代の辛かったことや失敗談、楽しかった思い出などを振り返りながら、当時の心境を語ってもらいました。

  • 黒木さん(OB) 黒木くん(OB)
  • 石田さん(OB) 石田くん(OB)
  • 齋藤 先生 齋藤 先生
  • 小林 副校長 小林 副校長
  • 小嶋 教頭 小嶋 教頭
  • 阿部 先生 阿部 先生
  • 木下 先生 木下 先生
  • 棚橋 先生 棚橋 先生

卒業生からの贈る言葉THE APPEAL OF BOYS’ SCHOOLS(黒木くん編)

正則学園に決めた理由は?

黒木くん「2020年度卒業生の黒木康次郎です。よろしくお願いします!」

一同「よろしくお願いします!」

黒木くん「それでは、まず僕の高校受験の時の話から。早速ですが、僕がここ正則学園への入学を希望した決め手は一体、何でしょうか?」

小嶋教頭「いきなり?(笑)せめて選択問題にしてよ」

黒木くん「じゃあ三択で。 1パンフレットを見て。 2在校生の挨拶で 3小嶋先生の猛プッシュに負けて」

一同「3番目!!(大笑)」

黒木くん「正直それもありますけどね(笑) 正解は2番!在校生の挨拶なんですよ。中学生の立場で高校に来るって、実は物凄いプレッシャー。先生が厳しいかもとか、恐い先輩がいるかもとか色々不安に考えちゃうんです。でも学校見学していると、すれ違う先輩方みなさんが、「こんにちわ」って、ちゃんと目を見て優しく挨拶してくれたんです。それで不安も一気に吹き飛びました。最初に中学の担任から薦められた時は、「えぇ〜男子校!?」って思いましたけど、先輩方の気持ちいい挨拶で、もう正則学園に決めましたね」

正直しんどかった、
あの時の話。

齋藤先生「正則学園に行きたいって言った時、保護者の方はどんな反応だった?」

黒木くん「親も僕と同じでした。やっぱり、目を見て気持ちよく挨拶をする生徒がいる、それだけで信頼できる学校だって。家族一致で気持ちよく入学を決めました」

一同「おぉー!嬉しいご意見!」

黒木くん「無事、晴れて入学してからは、小学校時代にトランペットをやっていたこともあって、経験者としてビッグバンド部に入部しました。順風満帆のスタートが切れたと胸を撫で下ろしていたところ、思わぬ落とし穴が。。。一年生ながら、東京ジャズに演奏メンバーとして抜擢されたんです」

木下先生「1年生で凄いじゃん!なんで大抜擢が落とし穴?」

黒木くん「コンボっていう少人数制の演奏に抜擢されたんですけど、これが凄く辛い!吹奏楽は形式に沿って綺麗に演奏するのに対して、ジャズは演奏する一人ひとりが個性を出す。同じ演奏でも求められるものが真逆。

鳴り物入りで入部したのに周りについていけず、孤独にひたすらソロのパートを唇の感覚がなくなるまで練習。結果、その甲斐あって東京ジャズは成功に終わりましたけど、個性ってすごく難しい。自由にやるって型にハマるより断然難しい。まあその後も紆余曲折はありましたが、無事2年生に上がりまして、ここから私は「花いけ同好会」にも所属することになります。老後の趣味も兼ねて、お花でも嗜んじゃおうかなって、軽い気持ちで参加したんですけど、全然思ってたのと違った!(笑) えっ5分間で活ける? しかも対戦? 全国大会? ってスケールのデカ過ぎる話に唖然としながらも活動は始まるわけです。そして忘れちゃいけないビッグバンド部。迫りくる東京ジャズ。いろんなことが重なってオーバーヒートしてか、トランペットを吹くことが怖くなってしまったんです」

どん底からの復活は、
バンジー?

小林副校長「好きなものが怖くなった?」

黒木くん「そうなんです。さっきも言いましたけど、個性を出して批判されるのが恐い。そうなると、アドバイスもリアクションも全て批判に聞こえてきてしまう。好きなトランペットが嫌いになりそうで。そんな中、pupaの活動に追われ、学園祭でも大きく失敗したり、きっとここから半年間くらいは高校生活で一番辛かった時期ですね」

棚橋先生「半年間か。それからその状態は克服できたの?」

黒木くん「はい、12月に。4日間の休息が僕を救ってくれました」

一同「あー!なるほど!(笑)」

黒木くん「そうです!修学旅行のシンガポールです。これがめちゃくちゃ楽しかった!世界最大の屋上プールで有名な、あのマリーナベイサンズに泊まって、USS(ユニバーサル・スタジオ・シンガポール)で遊びまくって、もう溜まりに溜まっていたストレス大発散!なかでもセントーサ島でのバンジージャンプ。青い海、白い砂浜、雄大な緑。大自然の中での開放感。初めてのバンジージャンプ。怖かったー。でも自分を出す、個性を出す怖さとかが、思いきって飛ぶことで全部払拭できた気がしました。
ちょっとおしっこチビってもいい!思いっきりやってやれ!って勇気が持てたというか」

阿部先生「おしっこはやめて(笑)」

黒木くん「楽しい修学旅行も終わり、心機一転で3年生。と思ってたら今度はコロナですよ。各部大会やイベントの中止。ビッグバンドも花いけも思うような活動ができず、意気消沈していたところ、なんと私、テレビ出演することになります。あの人気番組、マツコの知らない世界で花いけ男子を特集してくださって、我が正則学園が全国区に!(笑) マツコさんと直接お話ができて、とても勇気の出る、自信の持てる言葉を仰って頂き、やっててよかった!評価してくれる人は必ずいるって思いました。成功するとか報われるとかじゃなくても、必ずやっただけの形になる。 最後に、受験生の皆さんも、今とても大変な時期ですが、諦めない、続けていれば、きっと形になります。合格して楽しい高校生活を過ごしてください!本日はありがとうございました!」

一同「ありがとうございました!」

卒業生からの贈る言葉THE APPEAL OF BOYS’ SCHOOLS(石田くん編)

病弱だった小・中学校時代。

石田くん「2020年度卒業生の石田哲也です。よろしくお願いします」

一同「よろしくお願いします」

石田くん「実は僕、生まれた時に心臓の病気を患っておりまして、それに加えて5歳の頃には耳の手術を行い、8歳では盲腸、10歳で耳の症状が悪化し再手術。とまあ、いわゆる病弱な体質で、小学校は休み続きの日々でした。

中学に入ってからは次第に体調も良くなってはきたのですが、体も心も落ち着いた頃にはあっという間に受験シーズンという感じでした。いまいち勉強にも身が入らず、高校受験に関しても「点数取れば受かるでしょ?」って感じで単純に考えていて、夏休みの40日間で10時間しか勉強してませんでした(笑)」

小嶋教頭「受験シーズンに1日あたり勉強15分? 他の時間は何をやってたの?」

石田くん「ひたすらYoutubeとか観てました(笑) 志望校を決定したのも10月に入ってからですけど、以前からここ(正則学園)って決めてました」

入学1ヶ月で
自主退学を考えた

木下先生「見学会で決めたとかじゃなくて、ずっと前から決めていたってこと?」

石田くん「はい。理由は単純で、兄が正則学園の在校生だったからです。兄から校風の良さを聞いていて、自分に合いそうだなって思って。とはいうものの、相変わらず受験勉強は手に付かず、なにも対策しないまま気づけば1月。いよいよヤバイってなって、1日平均9時間勉強に切り替えて、1ヶ月近くの猛勉強の末、なんとか正則学園合格となりました。けれど安心したと同時に、自分はとある負の感情を抱くことになります。勉強量や学習意欲が足りなかったとは言え、自分は同級生に比べてそもそも実力不足なんだって。中学最後に感じたのは、なんと『劣等感』でした(笑)」

阿部先生「それは尾を引きそうな感情だよね」

石田くん「はい。劣等感を引きずったまま高校生活がスタートしますが、僕、入学間も無くYoutubeで見つけた某有名アイドルグループの子にドハマりします。人生の癒しに出会って劣等感から立ち直りかけた僕を、再び地に落とす事件が起きます。その子のスキャンダルです」

棚橋先生「これは悲しい。。。(苦笑)」

石田くん「そこで再び、自問自答します。「そっかぁ、俺って周りと比べて実力不足だし、好きなアイドルはスキャンダルだし、色々うまくいかないな」って思って、誰かに相談したくなったんですよね。

そこで気づいたんです。自分には悩みを打ち明けられる友達がいないって。携帯で中学の時の友達を探してみても、相談できるほど親密な友達がいない。今だから話せるけど、劣等感、失恋?、友達がいない、この3つが重なった時、高校中退したいなって思ったんです」

辛い時期を支えてくれたもの。

齋藤先生「入学して1ヶ月?5月の時点で高校中退を考えたんだ」

石田くん「はい。所謂、五月病みたいなものだったんですかね?でも当時は本当にそう思ってました。そこからどうにかプラス思考に持っていって、まずこの3つをなんとかしないと高校中退することになる。じゃあ逆にこの3つを解決すればいいじゃんって考えるようにしました」

小林副校長「さっきの、高校受かるには点数取ればいいだけじゃんって考え方だ(笑)」

石田くん「はい(笑)でも実際は難しかったです。友達作りってどうやるの?って。勉強みたいに点数で決まるものじゃないし。結局時間だけが流れて9月頃、自分からどうやってアプローチしていいか分からずにいたところ、ふと話しかけてきてくれた同級生がいて。そこから自然と会話も増えて、プライベートでも遊びに誘ってくれて、周りの同級生とも気づけば友達になっていました。仲間たちとの学園祭も楽しくて、いつしか学校を辞めたい気持ちも、周りに対しての劣等感もどっかに消えていました。ちょうどその頃、とあるニュースが飛び込んできました。あの某アイドルグループの子の卒業です。きっとこれが5月だったら、ショックで一緒に卒業していたかもしれない(笑) けど、当時の僕には仲間がいて、入学時のような状況ではなかったので、その子の卒業までちゃんと最後まで応援することができました。それを機に、僕は縛り付けられていた3つの呪いから解放されて、楽しい高校生活を送れるようになりました。ちなみに病弱だった僕、なんと高校3年間皆勤賞でした」

一同「おぉー!素晴らしい!」

石田くん「楽しい学校生活もあっという間。迎えた3年生。受験勉強に追われ、辛く苦しい時期に入りますが、ここで自分にとって大きな出来事が起こります。一つは、あの某アイドルの子がグループ卒業後に、数々のテレビ番組で活躍している姿を見たこと。辛い時期を乗り越えて活躍しているその姿にほんとに励まされました。もう一つは、3年生の自分の誕生日に友達がプレゼントをくれたこと。今まで友達から誕生日プレゼントをもらったことって無くて、すごく感動しました」

阿部先生「以前、君を苦しめていた問題が、いつしか勇気をくれる存在に変わったんだね」

石田くん「はい。もう一つの問題は僕の努力でなんとでもなるって思って、勉強に打ち込むことができました。1日12時間以上もの勉強。過酷な中でも友達とは連絡を取り合って、お互い励まし合って頑張りました。その結果、実力不足だと思っていた自分が難関校に合格することができました。仲間がいたから高校を続けられた。そのおかげで大学にまで合格できた。本当に友達には感謝しています。一生の宝をこの3年間で手に入れたと思います。受験生の皆さん、自分はダメだとか劣等感を持たず、支えてくれる仲間や周りに感謝して、自分に自信を持って頑張ってください。本日はありがとうございました!」

一同「ありがとうございました!」